幼児の日本語教育に悩む海外駐在員家庭へー英語・日本語どちらも必要だよね!私の失敗・成功例

教育関連一般

海外在留邦人子女数と言うのは年々増えています。

学齢期(小中学生)の数は”海外在留邦人子女数統計”より拾う事ができるのですが、未就学児に関しては正確な数字がひろえませんでした。恐らく3,4,5歳児で3万人超はいるだろうと思われます。

幼児期と言うのは言語形成においてとても重要な時期であるということはご承知の通りです。

母語の確立・維持は大変重要で、家庭では日本語のみを使用しましょう。特に低年齢の子供は気を付けましょう。

専門家・関連書は必ずこう説きます。

母語も第二言語も両方中途半端”ダブルリミテッド”現象にならないためです。様々なデータが母語の重要性を証明しており、それに関しては疑う余地もありません。

しかしながら、実際に海外で子育てをしている皆さんは”家では日本語のみ!”ということがプレッシャーになっていたりうまくいかず試行錯誤したりしていませんか?”家では日本語!”ということが家庭の実情とあわなくて悩んだりしていませんか?

海外で実際に子育てしていると”家では絶対に日本語!”がうまくいかない時もあります。

この記事では専門家の説く”母語の確立・維持のために家では日本語のみ!”というのをどのように家庭で実現していけば良いか、自分自身の失敗例・成功例を交えながら考えてみたいと思います。

4歳以上ー環境に慣れるため英語習得が急務な環境

英語がまず必要

4歳以上の子供は言葉でのコミュニケーションが主となってきます。現地の生活を子供がストレスなく楽しめるようになるためには英語の修得が必要です。一刻も早く環境に慣れて日本の時のようにお友達とコミュニケーションをとり楽しく遊んでほしい、そう思いますよね。

ですから、海外に移り住むとまずは英語!!となるわけです。これは自然な事ですし、子供にとっても言葉ができるようになれば良いことばかりでしょう。

このような段階ではついつい家の中で親が英語を話したり、英語のテレビや本ばかりを見せてしまいます。

ちょっと待って!

気持ちはわかります。私自身子供が4歳の時に海外に来て、子供が意気消沈し以前のような溌溂さが見られなくなってとても心が痛みました。言葉がもっとできるようになればきっと状況が改善するだろうと思いました。けれど、その後数年間に渡る海外生活の中で母語の維持・発展を図るために英語のみに注力するのではなく日本語に関しても余地を残しておきましょう。そうすると後がとても楽になります。

・英語と日本語バランス良く

例えばテレビ番組も英語の物ばかりではなく日本で好きだった番組も見る、日本の絵本の読み聞かせはずっと続ける、など。英語のテレビや本のみにならない様に気を付ける。

これに関してはテレビも絵本も恐らく好きなお子さんが多いと思いますので割とやりやすいと思います。

我が家はこの点は意識して赴任当初からやってきました。我が子はテレビに関して言えば今でも現地の番組も日本の物もどちらも好きです。けれど、本に関しては日本の絵本が大好きだったにも関わらずいつからか英語の本ばかり好んで読むようになりました。年齢とともに英語に触れる時間の方が圧倒的に長くなり英語で読み書きする方が楽になったからだと思います。前から日本の本も読むように心掛けていてもいつの間にか日本語と距離ができてしまいます。これ、もしも気を付けていなかったらどうなるのでしょう・・・・。

・親は英語で話さない

これは親自身も英語交じりで話すという癖をつけてしまわないため、また”家では日本語!”、といつか必ず子供に言う必要が出てくるので(笑)、一貫性を持たせるためです。子供に早く英語を習得してほしいという気持ちから自分も話したくなる気持ちはわかりますが、そうであれば自分が英語を話すよりも学校に通わせる、現地の子と遊ぶ方がずっと効果的ですよ!これは少し努力を要しますがなるべく自分は日本語、というのは守ってみて下さい。

この点については私の失敗例を後でご紹介します!

言葉が出始めたばかりの幼児ー”まずは母語”は絶対

では、まだ母語も出始めたばかりの1歳後半から3歳にかけての子供の場合はどうでしょうか?

また事情が違ってきます。子供を学校やナーサリーなどに預けておらず、自分と殆ど一緒にいる場合は心配ありません。けれど、長く預けていれば預けているほど要注意です。

・コード・ミクシングー使用言語が複数になるとそれらの言語を混ぜて使う現象で、どちらか強い方                  の言語に弱い言語が混ざること

・コード・シフティングー話の途中でA言語からB言語に切り替えること

お子さんにこんな現象は見られませんか?「言葉が混ざる」「文章が混ざる」というのはそれぞれの言語が未熟な時に起こると言われます。

幼児特有の一時的な現象という説

幼児期におけるコード・ミクシングやコード・シフティングの現象が見られるのは幼児特有の一時的な現象という説が主流になっており、言語環境が変わればこれらの問題は時間が解決すると考えられています。

実際に小学校一年生になるタイミングで帰国した私の友人のお子さん数名は拍子抜けするほどすぐに日本語が上達し、英語をあっという間に話さなくなった、という事です。

目の前の必要な事をどんどん取り入れていく、子供の本能なのですね。

親の姿勢は徹底する

幼児に関しては周囲の大人の言語行動に強い影響を受けると言われています。低年齢の幼児に対してこそ、親は日本語だけで話すという徹底が必要です。親も英語で話した方が楽な場合、英語の表現の方がしっくりくる場合もあると思いますが子供が小さければ小さいほど、両親ともに日本語、を守ってみて下さい。上にも述べましたが、帰国すると英語が驚くべき速さで抜けます(親は残念ですが)。この傾向は低年齢であればあるほど顕著です。ですので、母語をメインに置いた方が子供本人にとっては後々の混乱が少なくて済むのです。

会話に英語が混ざってきた・・・あれ、もしかして自分も⁉

海外生活もしばらく経つと子供の会話の中に英語が混ざってきますよね。

でも、それ本当に子供だけですか?ご自身の会話の中にも英語が混ざっていませんか?

・お友達とちゃんとshareしてね(これは日本でもよくつかわれているかもしれません)

Mummy4時にpickupにくるからね。

・どうしてそんなことを言うの?とってもミーンmeanよ!

などなど、このような感じで話しかけていませんか?

親自身も英語を学んでいたり英語環境の中にいるとついつい会話の中に英単語が混ざったり英語で話してしまったりします。

けれど、親自身が英語交じりの日本語を話していて子供に”家では日本語しか話しちゃダメ!”と言ったらどうでしょうか?子供は混乱してしまいますし、そういう自分も話しているじゃない、と思うと思います。

私の失敗からの成功例

こんなこと言っていませんか?

心の中では”絶対日本語!”と熱くなっていても良いのですが、子供が英語を話したときに

”おうちでは日本語で話しなさいって言ってるでしょう!!”

”おうちでは英語を話したらダメ!!”

”もう一度日本語で言ってごらん”

なーんて、子供に言っていませんか?

外国に来たばかりの頃を思い出してみて下さい。子供が英語を話せるようになってきたのを見た時大喜びしていませんでしたか?

英語の本ばかり読み聞かせたり買い与えていませんでしたか?

英語での日常生活に問題が無くなってきた途端に”日本語、日本語”と言い出しませんでしたか?

私自身の失敗(;´Д`)からの挽回(^▽^)/

正直に言うと実は私上の3つの台詞、言っていました・・・。

すると子供はどうなったか。

余計に日本語を嫌うようになり、好きだった日本の本を読もうとしなくなりました(:_;)。

私のこうした物言いが子供の反抗心を逆なでしてしまったのです。全くの逆効果でした。

それでどうしたか

①一度気にするのをやめた。

②子供が話しているのを日本語でも英語でも、まったく指摘せずそれでそれで?とそのまま話を続けさせた

③子供が英語で言った事を確認するような感じで日本語に言い直す

ー例えば

“Sammy was so mean to me”

“サミー意地悪だったの?どんなふうに?どうして?”

というように、話の腰を折らず日本語でオウム返しに確認し、会話の続きを促すよう意識しました。

②③を毎日ひたすら続ける

上記①~③を実践し、その後どうなったか

①日本語嫌いがましになり、日本語の本も手に取るようになった

②たまに”日本語で話すように気を付けてみて”と言っても怒らなくなった

と、良い変化が見られました。

こうなれば後はこの流れを維持していくのみ。そしてプラスアルファで日本の学習を日常に織り込んでいくこともできます。

失敗例その2-絵日記

年相応の文章力を養うために絵日記をできるだけ書かせていました。これが、どうにもこうにも気がのらなかったようで・・・一向に取り組もうとしてくれませんでした。

本も好きだしお絵描きも好きだし、私がする即興の作り話も好きだし、絶対に楽しんでやってくれると思ったのですがダメでした。

でも、少しでも読み書きする機会を作りたかったので日記と言う形式を辞めて、一問一答形式に変えてみました。どんなものかと言うと

例えば

・きょうはがっこうでどんなことをおしてもらいましたか?

・つぎのしゅうまつにはどんなことをしたいですか?

などといった簡単な文章でこたえられるものを考えてノートに書きできるだけ毎日やっています。時には

・おともだちみんながなかよくあそぶためにはどうしたらよいとおもいますか?

などといった少し考えることが必要な質問をなげかけることもあります。

・自分自身の気持ちを改めて考えてみて、それを文章にして書く

・日本語の読み書きの練習

この二点で効果的であると思います。読み書きができるお子さんがいらっしゃる方は試してみて下さい!コツはごく簡単な質問にすることです。それをできるだけ毎日続けること。

大切なのは親の姿勢ー時間がかかることを覚悟して

日本語を守らなければならないことはわかっています。けれども現地の中で生活をする子供にとっては今必要なのは英語なのです。そして、多くの親は子供に両方の言語を正しく使いこなせるバイリンガルに育ってほしいと思っています。

あ、今日本語と英語が混ざった!と目の前の一つ一つに反応するのはやめましょう。

言葉は物事を考え伝えるための道具。親の態度で子供が喋るのが嫌いになってしまっては他の学習や親子関係全てにおいて悪影響がでます。

目の前の現実として子供にとって必要なのは英語。そのことを分かってあげた上で日本語も大事にしていくということが本当に必要な事ではないかと思います。

家では日本語で話させないと!と意気込み過ぎず、日本語と英語が混ざっても態度を変えずどうすればどちらもバランスよく伸ばすことができるのか長期的に考えてみて下さい。私が上に挙げた失敗例も成功例も一時的な物に過ぎず、効果もすぐには現れません。だからこそ悩み迷う訳ですが、親は柔軟であるべきところと徹底すべきところをわけて、子供の様子を見ながら必要に応じて方法を変えたりしながら子供の性格にあったやり方を見つけていってください。

実践方法のまとめ

①子供が日本語と英語と混ざっていても気にしない、子供が英語で話したがる時はそのままにする

②子供が英語で話したことをオウム返しに日本語で言い、会話の続きを促す

③一問一答形式のノート

④日本語と英語のテレビと本バランス良く

⑤家族で話す時間をなるべく多くとる、子供の興味のある事について家族で話す時間を設ける

この時も②の方法を意識しながら子供が英語の場合親は日本語でしっかり確認しながら会話を進める

いかがでしたでしょうか?私自身多くの失敗を経てまだ模索中ですが、上記の方法で少しずつ良い流れができてきたと手ごたえを感じています。もしご家庭で母語の維持・発展のために実践されているおすすめのやり方がありましたらぜひ教えてください!

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