日本の童謡ー子供と育む日本語と日本の心

子供のための教養

みなさんは子供の小さい時によく歌を歌ってあげましたか?子供と一緒に歌を歌ったりしますか?

どんなお歌を歌ってあげましたか?

筆者は小さいころ夏休みに訪れる祖父母の家が大好きでした。

自分が住んでいる家や街とは全然違っていて、家の中を見て回るだけでも探検しているような気分になりました。

祖父母の家の匂いは今でも覚えています。ふとした時に同じような匂いがすると胸が締め付けられるような気持になります。

そうした思い出が沢山あるせいか、もともとの性質なのか日本の童謡がとても好きです。

子どもにもよく歌っていたので、自然と子供も覚えていきました。

 

さて、子どもの教養のカテゴリーに”童謡”をテーマにした記事を書いたのには訳があります。

童謡は楽しみながら教養を身に着けることができる一番身近なものであると筆者は考えています。

 

日本の四季の美しさを知る

 

童謡は季節や情景をとても豊かに映し出しています。

春の朗らかさ生命の息吹、夏の空の青さ濃い緑、秋の寂しさを纏った美しさ、冬の厳しさ緊張感

こういった感覚を曲調や歌詞から肌で感じ取ることができます。

 

このサイトを訪れる方の多くは日本の都市部、海外などにお住まいと思います。

流れる小川、彼岸花、からすうり、茶畑、小さな動物や虫たち

そうしたものは見かけないし、自然や四季の移ろいから随分遠くにあるような生活を送っていませんか?

童謡は実際には触れることがないものでも、歌の描く情景から思い浮かべることができるのです。

登下校の際、習い事に行く際、少し足を止めて周りを見回してみたり週末季節を探しに郊外に出かけてみたり、そんな時に童謡の世界がシンクロすると思います。

その体験は子供の心に瑞々しく刻まれることでしょう。

むかしの日本の言葉

童謡には今ではなくなってしまった言葉が沢山出てきます。

そして、現在の私たちにはない親子間の緊張感があります。

歌詞を追っていくとこんな言葉があったのか、こんな例え方があるのか、と新鮮な発見があります。

あめふりー作詞北原白秋 作曲中山晋平

例えば私の大好きな童謡の一つ、”あめふり”を見てみましょう。

 

あめあめふれふれ母さんが じゃのめでおむかいうれしいな

ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷらんらんらん

 

かけましょかばんを母さんの あとからゆこゆこかねがなる

ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷらんらんらん

 

あらあらあの子はずぶぬれだ やなぎのねかたでないている

ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷらんらんらん

 

母さんぼくのをかしましょか きみきみこの傘さしたまえ

ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷらんらんらん

 

ぼくならいいんだ母さんの おおきなじゃのめにはいいってく

ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷらんらんらん

出展元:童謡・唱歌ー歌詞:歌ネットhttps://www.uta-net.com/song/13990/

 

お馴染みの童謡ですね。雨の日の登下校はお子さんとこの歌を歌いながら歩いた方も多いのではないでしょうか。

筆者の子供はこの歌が大好きです。言葉が出始めた頃からすでに歌っていました。

この歌、五番まであるのをご存知でしたか?実に見事にストーリーが描かれています。

お母さんや友人に対する言葉遣いがとても丁寧で新鮮に感じました。

”母さん~しましょうか?”なんて、自分自身使ったことがありませんし、自分の子供ともこのような言葉使いをする感じの関係ではありません。

ピンクで色抜きしてある言葉を見てください。

じゃのめってなんのことかわかりますか?

”蛇の目”です。蛇の目のことなのです。

昔の傘は上から見ると蛇の目のような絵付けが施されていたことから蛇の目と呼ばれていたようです。

この歌は大正時代のものですので、恐らくお母さんは和装だったのではないかと推測されます。

”この傘さしたまえ”、のように~したまえ、という言葉遣いや、一人で泣いている友人をおもんばかって自分の傘を差しだす気持ちがとても立派だなと感心します。

昔の日本人はこうだったのかな~、と想像を巡らせて歌の世界に入り込んでしまいます。

この曲だけでも、多くのことを感じたり発見があると思います。

言葉遊び

子どもは未知なものやおかしいものが大好き。

今では使われなくなった”じゃのめ”という言葉の響きはどことなくおかしくて子供たちから”じゃのめってどういう意味?”などと反応があると思います。

ぴっちぴっちちゃぷちゃぷらんらんらん、などもテンポが良くて歌っていて楽しいですよね。

童謡にはまだまだ面白い物や未知なものが隠れています。

 

温かい童謡、温かい親子の時間

 

童謡で描かれる世界は様々です。そこには物語があります。

私たちの生まれる遥か昔から脈々と営まれてきた人々の生活、厳しくも豊かな自然が織り成す物語が歌に温度を与えています。

歌を聞いたり実際に歌ったりしながら歌詞を追って同様の世界を探検してみましょう。

子供と一緒に口ずさめば、様々な事に追われる日々から抜け出し親自身も童心に帰りリラックスした時間を過ごせます。また、海外で生活している方々は日本の情景を子供に伝えることができます。

子どももお父さんお母さんの小さかった頃の話を聞いたり、いつもよりも柔らかい親の様子に嬉しくなることでしょう。

音楽の教科書の中の歌がどんどん新しいものに取ってかわられ昔の童謡が姿を消していっています。けれど、童謡には昔の日本の姿、昔の日本人の生活が映し出されています。

そういうものを知り、大切にする姿勢が教養を育くんでくれるように思います。

 

 

 

 

 

 

 

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